『ずっとずっとGreen oasisに暮らす』8つの循環の詳述 [気密 編]

こんにちは。斉藤です。今回のブログは、
『ずっとずっとGreen oasisに暮らす』を生む8つの循環の詳述 [気密 編]になります。
その前に、この度『SaiCLE』モデルハウスの ” LCCM 住宅 ” 認定にチャレンジすることにしました。
LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅とは、住宅の長い寿命の中で、建設時、運用時、廃棄時において、出来るだけ省CO2に取組み、さらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅建設時のCO2排出量も含めライフサイクルを通じてのCO2の収支をマイナスにする住宅です。
LCCM リンク:LCCM住宅認定|一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター
理由として、斉藤建築工業の信念に『わたしたちは自然への感謝と謙虚な心を忘れず、住まいづくりを通じて社会に貢献し、持続可能な未来を築いていきます。』を掲げています。その信念の基に『SaiCLE』が誕生しました。
家は、家族と環境に影響するものだと考えます。「SaiCLE」は、家族の健康、安心、健康を大切に考えながら、地球環境への負荷を最小限に抑える住まいづくりも大切にしています。高性能で自然素材を多用していることに加えて省エネルギーが特徴です。
そのため、” 住宅建設時のCO2排出量も含めライフサイクルを通じてのCO2の収支をマイナスにする住宅 ” とする、LCCM住宅の考えに共感しました。
本当の意味で“ 持続可能な住まい ” を実現するには、建築しているとき → くらしているとき → 役目を終えて解体するとき、それまでを含めた配慮が必要だと思います。それは、信念の通り、住まいづくりを通して未来のこどもたちへ安心したくらしを残したいという想いからです。
この信念と『ずっとずっとGreen oasisに暮らす』のコンセプトを併せた『SaiCLE』で、ぜひ ” LCCM住宅 ” 認定を取得したい想いから始めました。結果が楽しみでもあり、ソワソワでもありますが、何ごともやってみなければですね。
信念 リンク:経営方針
コンセプト リンク:コンセプト
モデルハウスの植栽が若草色の新緑に染まってきました。「Green oasis」が色づいてきています。
それでは、 [気密 編]の詳述になります。お付き合いいただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
3.気密性能
相当隙間面積 C値 0.3 ㎠/㎡ 以下
[気密性能(相当隙間面積C値)とは?]
気密性能は、冷蔵庫に例えるとイメージが付きやすくなります。冷蔵庫のドアがしっかり閉まっている場合は、中の冷気が逃げにくく食材が新鮮な状態を保ちます。これは高い気密性能の表れです。ドアの閉まりが悪いと隙間から冷気が外に逃げてしまい、冷蔵庫の中が冷えなくなってしまいます。気密性が低いことから食材の鮮度が保てません。加えていくら時間を掛けても設定室温に届かないため、必要以上に電力消費を続け、電気代が高くなってしまいます。冷蔵庫に高性能な断熱材が備わっていても、気密性能が低ければその性能を十分に発揮できないのです。
住宅も同様です。やはり断熱性能が高くても気密性能が低ければ、意味を成さないためとても重要です。気密性能は「C値」として実測から数値で示すことができます。C値は0に近いほど理想とされており、C値1.0㎠/㎡を切るくらいの住宅であれば気密性能が良い住宅とされています。
[気密の重要性]
高い気密性能を有して初めて高断熱住宅の性能を発揮することができます。隙間による外気に影響されずエアコンの冷暖房が効率よく稼働し、居室だけでなく居室以外の廊下・水回り等の室温も安定します。よって電気代も抑えられるため、経済的です。加えて本来の計画的な換気を行うことも初めて可能になります。
シックハウス症候群対策のため24時間換気設備を設置して、家の空気を2時間に1回以上入れ換える計画換気が義務化されています。気密性能が高ければ計画に基づいた給排気が機能するため安心・安全で健康的な住環境につながります。逆に隙間が多い場合は、埃含んだ空気が入り込んでしまうばかりでなく、梅雨時期や雨天時の湿気も多く入り込んでしまいます。湿気を上手く排気できないため、水回り、押入・収納等にカビが発生し易くなってしまいます。
また、一般的な繊維系断熱材(グラスウールなど)を採用した場合、壁、床、天井の使用において、屋内側から壁内に湿気の浸入を防ぐ気密を兼ねたベーパーバリアの施工が必要です。屋外側は、壁内の湿気を排出するため、防水を兼ねた透湿シートと通気層の施工が必要になります。水蒸気圧の関係から冬は屋内から屋外に、夏は屋外から屋内へと移動します。特に屋内側のベーパーバリア施工が十分にできていなければ、冬季おいて屋内の温かく湿った空気が壁内に侵入し、内外温度差によって壁内結露が起こる可能性があります。
壁内結露によって断熱材が水分多く含むと、熱抵抗値 (R値)が低下するため断熱性能が低下します。加えてカビが発生してしまうと断熱材が腐り欠損が起こるため、さらに断熱性能が低下する可能性があるのです。この状態が進むと構造として重要な柱や梁までも腐食させてしまう恐れもあります。構造の強度が低下は、家の寿命が縮むだけでなく地震にも弱くなってしまうのです。
そして、カビは健康被害にまで及びます。カビをエサとするダニが増えて喘息やアレルギー症状を引き起こす原因になるのです。気密性能を高めることは家族の健康寿命と住宅の長寿命を延ばすとても大切なことだと考えます。
このことから「SaiCLE」は、壁内結露やカビ発生原因の湿気を通さない、50年無結露補償付きの断熱材「FPパネル」を採用する一つの理由です。
気密性が高いFPパネル]
パネル式であるため躯体に組み込まれると隙間がほとんど生まれません。組み込んだ外周に特殊な気密テープで目張りを行うことでより高い気密性能を確保します。
熱伝導率(λ値) 0.019W/m・K
熱抵抗値(R値) 5.5 m²・K/W (厚み105mm)
リンク:FPの家
FPパネル紹介動画リンク:『FPの家』強さのヒミツ~これ、ただの断熱材じゃない~
[SaiCLEは、C値 0.3㎠/㎡ 以下に設定]
C値に影響する要素として、サッシや玄関ドア本体に備わっている気密性能も重要ですが、最の要素は建築途中の設備・電気・木工事における気密施工をしっかりと行うことです。
特に木工事はその多くを担っており、壁・床断熱のFPパネルを組み込んだ隙間の目張り。天井断熱材のセルロースファイバーのベーパーバリアの目張り。柱や軸組み金物部の隙間埋め(断熱処理)、土間部基礎立ち上がりの隙間埋め等々を大工の手で一つひとつ施します。
これは長年の経験や知識による職人の施工品質といえるものです。安定した気密施工に繋がり、弊社ではC値を 0.3㎠/㎡以下まで気密性能を高めてきました。
国の基準値は、2009年の省エネ改正前までは5.0㎠/㎡でしたが、改正後からは値が示されておらず現在も基準がありません。
先に述べた通り、1.0㎠/㎡を切る住宅であれば気密性能が良い住宅とされています。
しかし、経年と共に気密は少しずつ落ちてしまいます。低下のペースは建物の種類や環境条件によって異なりますが、年間0.5%から2%程度とされています。この値は、築年数、建材の種類、気候条件、建築品質、地震の影響を受けて低下する可能性があります。そのため、高い気密性能を新築時から備えておくことが長期において非常に重要になります。C値 0.3㎠/㎡以下に設定した意図はこの考えからです。
[全棟気密測定の実施と測定方法]
気密測定を全棟実施しています。気密測定の方法は専用の測定器を使用し、窓などの開口部に取り付けて行います。
C値の求め方は 住宅全体に存在する隙間の合計面積(総相当隙間面積 ㎠)÷実質延べ床面積(小屋裏、吹き抜け含む) となります。
準備作業:
すべてのドア、サッシの鍵を掛けて本来の気密性能を発揮させます。給排気口、排水口などを閉じ必要に応じて封印します。これによりの空気漏れを最小限に抑えることができます。
送風の開始:
外部からの空気を建物内に送り込むため、測定器から送風を開始します。屋内の空気をすべて外には吐き出し屋内と屋外の圧力差作りだします。
測定:
家内外の圧力差を一定に保ちながら気密を測定します。建物から空気が漏れ量を測ることで、正確な隙間の大きさC値を出すことができます(C値は数点第二位以下切り捨てが正規実測値)。
測定後の改善:
より気密性を向上させるため改善を行います。測定器の送風によって隙間からの空気漏れが特定し易くなるため、重ねて気密施工を施し再度測定します。このくり返しを数回おこないます。
測定した結果は報告書にまとめてお施主様にご提出いたします。
SaiCLE モデルハウスの気密性能試験結果
C値 0.1 ㎠/㎡
以上のことから『SaiCLE』は家族と地球の未来のため、
相当隙間面積 C値 0.3 ㎠/㎡ 以下 に設定しました。
長文のご一読ありがとうございました。次回は、「耐久性能」の詳述となります。
どうぞよろしくお願いいたします。
自然素材・高気密高断熱・住宅性能を大切にする工務店 斉藤建築工業㈱
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: 2. 断熱 編
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