『ずっとずっとGreen oasisに暮らす』8つの循環の詳述 [断熱 編]

こんにちは。斉藤です。
自宅からほど近くに田園風景が広がっていまして、私のお気に入りお散歩コースとなっています。
筑波山も見えるロケーションであり、農道のため車の行き来が少なく、休日は自然豊かな景色見ながら子供たちとゆっくり歩いています。
5月に入り用水路、田んぼに水が入りました。用水路を覗いてみると、なんとドジョウを発見!環境の変化によって数が減っているため、貴重ですし初めて見たので一同興奮です。せっかくなので写真を撮ってみました。こうした身近な体験を通して、子供たちの源風景になってもらえたらいいなと感じたお散歩でした。
さて、今回のブログは、『ずっとずっとGreen oasisに暮らす』を生む8つの循環の詳述 [断熱 編]になります。
長文となりますが、お付き合いいただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
2. 断熱性能
外皮熱貫流率(UA値) 0.23 W/m²・K
[『SaiCLE』は、外皮熱貫流率(UA値) 0.23 W/m²・K HEAT20 G3 が基本性能(5地域)]
ご家族の安心・安全・健康につながる、ヒートショックリスク、健康寿命を日本最高クラスの断熱性能で守ります。
『SaiCLE』温熱性能(光熱費)表リンク:SaiCLE 性能計算結果 ( 下部)
[外皮熱貫流率(UA値)とは]
外皮熱貫流率は、建物の外皮(壁、屋根、天井、床、窓サッシなど)から外部環境へ熱がどれだけ逃げるかを表す指標です。この外皮を通過して外部へ逃げる熱損失の合計を外皮面積の合計で割った値が外皮平均熱貫流率(UA値)になります。単位はW/m²・Kで表し建物の断熱性能を示す重要な数値の一つです。
[外皮熱貫流率(UA値)の重要性]
外皮熱貫流率が低いほど建物内部の熱が外部へ逃げにくくなります。冬場は暖房した空気が外に逃げにくく、夏場は冷房した空気が外から侵入しにくくなります。これにより室内の温度を一定に保ちやすくなり、居住者の快適性が向上します。また住宅の断熱性能を向上させるには高性能断熱材、開口部に高性能窓サッシを採用することが重要です。
[地域区分と断熱性能等級]
南北に長い日本は気候によって8つの地域に区分しています。北海道などの寒冷気候の地域は、外皮熱貫流率が厳しく設定され高い断熱性能が求められます。一方で沖縄などの亜熱帯気候の地域では緩やかな傾向です。この外皮熱貫流率から異なる地域の気候において7段階に分けた基準が断熱性能等級です。国土交通省によって定められており、断熱性能等級の数字が高いほど快適な生活を送れる指標になっています。弊社を置く茨城県筑西市の地域区分は温帯気候の比較的暖かい5地域に設定されています。
[HEAT20 とは]
「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」が提案するHEAT20 住宅外皮性能G1~G3 を設定しています(HEAT20は7地域に区分)。国土交通省が定める断熱性能等級ごとに比較すると以下のように相当されています。
断熱性能等級7 → G3
断熱性能等級6 → G2
断熱性能等級5 → G1
G1~G3の定義は以下の通りです。
暖房期最低室温(OT) 3%タイル値
G1は最低室温をおおむね10℃に保つことにしていますが、これは非暖房室の表面結露の防止、すなわち住まいの健康を主目的にしているものです。G2は1・2地域を除けばおおむね13℃、G3はおおむね15℃以上を確保することとしており、これらは室内の温度むらを小さくし、住まい手の暮らしやすさの向上や温度ストレスを考え設定しています。
暖房室温(OT) 15℃未満の面積比割合
単純に住宅内のどこかで15℃未満となる時間の割合を示すものではなく、住宅内部で15℃未満となる時間・面積が全体のどれくらいあるのかを示したものです。実際の住宅においては、時間のみならず空間の温度むらも考慮して検討することが好ましいという意図から、HEAT20独自の指標で説明しています。
※出典:一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会 HPより
リンク:HEAT20/2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会公式サイト
HEAT20は、地域によって、国土交通省が定める断熱性能等級よりも厳しい外皮熱貫流率を推奨しています。筑西市(5地域)の断熱等級6、7と比べるとHEAT20 G2、G3は、より外皮熱貫流率を高く設定されていることが分ります(高い断熱性能が求められる)。
[ヒートショックと健康寿命]
筑西市は温帯気候の比較的暖かい5地域に設定されていますが、真冬は外気温-5℃になることも珍しくありません。外気温が0℃以下になると断熱性能がやはり重要になります。断熱性能が低い住宅ほど室内でのヒートショックの危険が高まるためです。
ヒートショックとは急激な温度変化によって血管が収縮・拡張し、心臓や脳などの臓器に障害が起こる現象です。具体的には、暖かい部屋から寒い浴室に入る際に血管が収縮して血圧が上昇し湯船に入ると血管が拡張して血圧が低下します。この血圧の急激な変動が脳梗塞や心筋梗塞などの原因になります。ヒートショックは冬場の入浴中に起こりやすいといわれています。これは室内と浴室の温度差が大きいためです。特に高齢者は体温調節機能が低下しているためヒートショックのリスクが高くなります。
ヒートショックを予防するためには住宅の断熱性能を高めて家中を18℃以上に保つことが最も有効です。室温が18℃以下になると新陳代謝が低下し始まるといわれます。
また、ヒートショックは健康寿命にも大きく影響を与えます。健康寿命とは人が健康で自立した生活を送ることができる期間のことを指します。ヒートショックのリスクを低下させることで様々なメリットがあります。
ストレスの軽減:
急激な温度変化や体調不良によるストレスが軽減されることで、精神的なストレスや不安感が減少します。安定した環境によってリラックスした状態を保つことができるため心理的な健康をサポートします。
健康管理の容易化:
健康管理が容易になります。特に高齢者や体調の弱い方の健康状態を維持しやすくなります。
医療費の削減:
健康被害や後遺症が減少することにより医療費の削減効果が期待できます。定期的な医療検診や健康管理の予防医療により重点を置くことができるため医療費の負担を軽減します。
以上のような突然の体調不良や不快感が軽減されることで日常生活を快適に送ることにつながります。
[『SaiCLE』に使用するこだわりの断熱材]
床、壁に厚さ105mm FPパネルを採用:
弊社が20年以上採用を続けるFPパネル。断熱・気密・耐震・耐久性能に信頼を置くパネルでありOB様から定評いただいております。2023年4月には大きく改良が行われ熱伝導率大きく進化を遂げました。壁内結露やカビ発生原因の湿気を通さない「50年無結露補償」付の断熱材です。
また、FPパネルは、もし住宅が解体となった場合、パネルを外すことが可能なため、環境にも配慮された断熱材です。これにより新築、リノベーション等に再利用することができます。
近年、現場吹付ウレタン断熱を採用する建築会社が増加していますが、柱、梁、耐力壁の構造躯体等に直接吹き付けるため、解体時に削ぎ落とすことは困難です。そのため処分を行う際は環境に負担が生じてしまいます。
熱伝導率(λ値) 0.019W/m・K
熱抵抗値(R値) 5.5 m²・K/W (厚み105mm)
リンク:FPの家
FPパネル紹介動画リンク:『FPの家』強さのヒミツ~これ、ただの断熱材じゃない~
壁付加断熱材に高性能硬質ウレタンフォーム30mmを採用:
壁付加断熱として高性能硬質ウレタンフォーム30mmを使用して外皮熱貫流率(UA値)の強化と熱橋への対応を施しています。湿気を通さない「FPパネル」と同じウレタンを使用することで安定した断熱性能を発揮します。
アキレスキューワンボード
熱伝導率(λ値) 0.021W/m・K
熱抵抗値(R値) 1.4 m²・K/W (厚み30mm)
※画像出典:アキレス株式会社
リンク:キューワンボード
天井に吹き込み厚さ400mmセルローズファイバー を採用:
セルローズファイバーは再生可能な自然素材が原料になっています。主にリサイクルされた新聞紙や他のペーパー製品から作られており環境への負担が少なく地球にやさしい断熱材です。空気を含んだ微細な繊維からできており、熱を伝導する能力が低く高い断熱性能を持ち室内の温度を保ちます。
防火性も高くホウ酸を添加することで燃焼を防ぐことができます。その他、防虫の効果(食毒作用)、木材腐朽菌やカビに対しても効果的です。また湿気を吸収しやすく室内の調湿効果を発揮するため快適な環境に整えます。
新聞紙や他のペーパー製品で開発した経緯は、米国1940年に新聞や電話帳の焼却がもったいない考えから鉱山資源省と電力会社の協力によって生産が始まりました。住宅用の断熱材が製造化されたのは、セルローズファイバーが世界初です。
また、住宅解体時にはセルローズファイバーの回収が可能です。そして再利用することができます。
セルロースファイバー
熱伝導率(λ値) 0.04W/m・K
熱抵抗値(R値) 10.00 m²・K/W (吹き込み厚 400mm
[各部の断熱構成]
床断熱構成:
壁断熱構成:
天井断熱構成:
[「高性能木製トリプルサッシ・玄関ドアを採用]
室内への熱の出入りは開口部が最も影響が受けやすい。しかしながら、サッシ・玄関ドアは長らくアルミ製が使用されていました。結露の発生や低断熱性能の短所から断熱性能が高いアルミ樹脂複合・樹脂製へと移り変わり普及しています。
樹脂以外に断熱性能の高いものが木製です。コストが高くまだ一般的ではありませんが、材木はアルミニウムと比較して約2,000倍熱を通しにくい性質があります。
またサッシのガラスにおいてはペアガラス普及していますが、より断熱性能を高めたトリプルガラスの使用が近年広がっています。
「SaiCLE」は高性能木製トリプルサッシ・玄関ドアを採用しました。これにより「SaiCLE」の外皮平均熱貫流率(UA値)に大きく貢献しています。またこれ以外にも木製は調湿効果があるためカビや結露を起こしにくく快適な住環境にも貢献します。
日射取得の考え方:
断熱性能と併せて、冬は日射取得を考慮することが大切です。南には日射取得率の高いガラスを採用しているため、冬は積極的に太陽の日射を取り込むことができます。これにより室内が暖まりやすく、熱を外に逃がしにくくします。これにより日中のエアコン等の使用量を減らすことにつながるのです。南以外は日射取得率の低いガラスを採用し、熱を室内に通しにくくしています。夏は日射により室内が暑くなるため、屋根の軒の出や外付けブラインドによって日射を遮蔽します。
※画像出典:株式会社山崎屋木工製作所製
木製トリプルサッシ 株式会社山崎屋木工製作所製 CURATIONER
・日射取得型Uw値0.96 W/m²K (平均値)
ダブルLow-E クリア アルゴンガス封入_日射取得率 58%
・遮熱型Uw値 0.94 W/m²K (平均値)
ダブルLow-E グリーン アルゴンガス封入_日射取得率 32%
以上のことから『SaiCLE』は家族と地球の未来のため、
外皮熱貫流率(UA値) 0.23 W/m²・K を選択しました。
長文のご一読ありがとうございました。次回は、「気密性能」の詳述となります。
どうぞよろしくお願いいたします。
自然素材・高気密高断熱・住宅性能を大切にする工務店 斉藤建築工業㈱
ブログバックナンバー
ずっとずっとGreen oasisに暮らす』8つの循環の詳述
HPトップページリンク:SaiCLEトップページ